ユーザーインタビューをはじめよう ―UXリサーチのための、「聞くこと」入門

| Title | Outline |
|---|---|
| Author | スティーブ・ポーチガル |
| Published | 2017/6 |
| Read | 2019/6 |
第1章:デザインにおけるインタビューの重要性
- 効率的なインタビューは努力によって得られる真のスキルである
- 仮説に磨きをかけ、市場にある既存製品のリデザインを導くのに役立てることができる
- ユーザーに会うという 経験を共有するチームは、正しい知識と統一した見解を持つようになり、共感力が高まる
ユーザーリサーチ手法の例
| Type | Outline |
|---|---|
| 定性調査 | 「内容、理由」 について調査するもの 企業側が消費者側と対面する形式で意見を吸い上げる調査手法 感情や価値観に由来する心理的な構造 を知ることに役立つ |
| 定量調査 | 「数や割合」 を調査するためもの 主に クローズドクエスチョン(はい・いいえなどの2択、3択で答えられるような回答の範囲を限定した質問)を使ったアンケート 統計上有意義な結果を得るために数多くの回答者に配布される |
| ユーザビリティテスト | ユーザーが製品を使い、各要素(タスク完了までの時間、エラー率、代替ソリューションの選好度)を測定する 操作性やUI操作の検証をするために実施するテスト |
| A/Bテスト | 同一デザインの2つの異なるバージョン を同じ状況で公開し、その効果を比較する |
| ウェブ解析 | GoogleAnalytics などから得られた様々なデータポイントの測定と分析 非常に多数のユーザから情報を集約する ユーザータイプ、日時別の利用状況などのパターンを明らかにすることができる |
| フォーカスグループ | 4〜12名の参加者 により、モデレーターの管理のもとに行われる ディスカッション さまざまなソリューションの選好度(および選好理由)を調べるために用いられる |
| 集合テスト | 15〜50名のグループにデモンストレーションを見せ、コンセプト、各種機能の魅力、製品の好ましさなどの理解度を測定する調査 |
第2章:インタビューするためのフレームワーク
- インタビューの目的を明言する
- 「何をやる」のかはっきりさせる
- インタビュー時の ボディーランゲージ(聞く姿勢)は重要
- うなづきや「うんうん」といったあいづちで相手の意見を受け入れる
- 話を聞いているときは前かがみになるのがよいだろう
- ラポール(信頼関係)の構築 につながる

第3章:インタビュー実施の準備
目的の設定
- プロジェクト開始段階では目的を再優先事項とするために、まずはステークホルダーに対してユーザーインタビューを実施する
- インタビューを通じて何を知りたいか?を明らかにする
- ステークホルダーにはまず以下を聞かなければならない
- 社内での経験とリサーチトピックスに対する経験
- 顧客、ユーザー、提示されたソリューションに対し、現段階で抱いている考え
- 認識しておくべき組織としての障壁、およびその他障壁
- プロジェクトのビジネス目標、リサーチで答えを見つけるべき具体的な質問
- 手法についての懸念または不安
参加者を見つける
- スクリーナー(アンケート)を作成する
フィールドガイド
- インタビューガイドまたはプロトコルと呼ばれることがある
- インタビュー中に発生すると思われる事柄を詳細にまとめた文章のことである
- インタビューは計画通りに進まない
- それでも、細かな計画を立てていれば柔軟に対応可能だし、チーム内で意見を揃えることができる
- 作成するにあたってまず目的やその他情報からかじめよう
- 「答えが欲しい質問」を「インタビューでたずねる質問」に変換するステップだ
- 大半のインタビューガイドは次のように構成される
- イントロダクションと参加者のバックグラウンド
- 主要部分
- 将来の予測や希望についての質問
- 締めくくり

スケジュール管理
- あまり欲張りすぎないように
- 1日に2件くらいまでが妥当なところだ
インタビュー終了間近は大胆な質問ができるチャンス
- 将来の予想や希望についての質問で効果的な質問
- 5年後に再び同じ話をするとすれば、何が変わっていると思いますか?
- あなた自身が理想的なエクスペリエンスを構築できるとすれば、それはどのようなものですか?
第5章:インタビューの主要段階
フィールドチーム
- ケースによるが理想的な人数は2人
- 1人はインタビューをリードし、もう1人がバックアップする
- 多くの人が直接ユーザーに接するのが重要なケースの場合は人数を増やして良いが・・・
- 心理学の観点から他者は存在するだけで人の行動に影響を及ぼすので注意が必要だ
- 1人増えれば力のダイナミクスが代わり、気後れして心を閉ざす参加者が出る可能性もある
- チームの人数が多いほど、オープンなインタビューは難しいという矛盾を抱えていることを必ず全員に認識してもらうようにすべし
- 3人から更に増やすことは断固反対だ
- インタビュースキルのない同僚、またはクライアントが同行する場合
- 何らかのタスクを与える
- 写真撮影など
- いつどんなタイプの質問をすべきか説明するなどして、関与の度合いを管理する
- 付箋に聞きたいことを書かせ、インタビュアーに渡すのも良いだろう
- 実際に質問するかはインタビュアーの判断に委ねる
- 付箋に聞きたいことを書かせ、インタビュアーに渡すのも良いだろう
- 何らかのタスクを与える
フィールドワークのメンバー向けガイド


目的を説明する
- 話をする時間を作ってくれたお礼を言い、インタビューの概要を大負けに説明する
- プロセスの概要を手短に述べ、参加者に何を期待しているか伝える
- 「今私達に聞いておきたいことはありますか?」とたずね、質問がなければ先へ進もう
- 参加者を巻き込む
- 礼儀正しく、プラスな雰囲気を作れる
ぎこちなさを受け入れる
- はじめのうちは人々の答えは短く、ぎこちないだろう
- いずれストーリーを語るようになるだろう
- ドアノブ現象
- セッションが終わる頃になってきていきなり人々がよくしゃべるようになる
- 場所を出るまで録音を続けるべし
第6章:質問の手引き
沈黙はぎこちなさに勝る
- 質問はできるだけ短くし、自分が望んでいる答えに誘導しない
- 質問したら待とう
- 新米は焦ってそれとなく選択肢を口にしてしまう(誘導)
- 沈黙の気まずさは別のことをして紛らわせ、「沈黙しても大丈夫」とおまじないのように唱えて心を落ち着かせよう
- 本当に分からなければ相手はそう言ってくれるだろう
日本人と沈黙
- by リン・シェード
- 日本におけるユーザーリサーチにとって、沈黙は実に重要である
準備の沈黙
- 経験を共有する用意が整っていることを知らせるために両方が黙る
- 両方の当事者が生産的な会話のための雰囲気を作ろうとする、そのひとつの手立てとして沈黙を使うのだ
努力の沈黙
- インタビュー中に訪れる沈黙は話を進行させようという努力を示している
- インタビューが受ける方が黙っている場合
- トピックについてじっくり考えている
- 目標に貢献したい気持ちの現れ
- インタビューする側が黙っている場合
- 対象者の反応を慎重に解釈し、答えを出すまでの努力に経緯を表して押し黙る
- 要するに日本の人々は沈黙を多用して会話の進行を促すのだ
失敗の沈黙
- 警戒すべき沈黙の気配は、抵抗や混乱をうかがわせる種類のものだ
- 以下のような場合に黙ってしまいがち
- 質問に答えられるほどの知識がないと感じるとき
- 自分がふさわしくないと感じるとき
- 質問の意味が分からなくて不安に感じるとき
- この種類の黙り込みにはインタビュアーが何か言って沈黙を打ち破らなければならない
- ダメな沈黙が過剰に長引くとインタビューを受ける側はストレスを感じ始めるだろう
流れをコントロールする
- 次のトピックに移るときは、それとなくわかるフレーズを使う
- 「素晴らしいです。では方向を変えまして・・・」
- 「前におっしゃった話に戻りましょう・・・」
より多くの答えを引き出す
- フィールドガイドはあくまでも目安
- インタビューを首尾よくリードできるかはあなた次第
- トピックを更に掘り下げて、参加者がとことん語るのに最適な状況を整えることに注力する
コンテクストを把握し、詳細な情報を集めるための質問
- 一連の過程についてたずねる
- 仕事がある普段の日々のことについて説明していただけますか。仕事場で座ってまず何をしますか?その次になにをしますか?
- 数をたずねる
- それが発生したときに削除するファイルの数はいくつですか?
- 具体例をたずねる
- 「最後に」ストリーミングした映画は何ですか?
- 「どんな映画をストリーミングしますか?」と比較すると、具体的な質問は一般的な質問よりも答えやすく、フォローアップの質問の土台となる
- 「最後に」ストリーミングした映画は何ですか?
- 例外についてたずねる
- 顧客が注文に問題があると感じているときの状況を説明していただけますか?
- 完全なリストについてたずねる
- スマートフォンにインストールした各種アプリを全部挙げていただけますか?
まだ語られていないことを探り出すための質問
- 明確にするためにたずねる
- 「あれ」とは最新サーバのことですか?
- 略語や現地の言葉についてたずねる
- なぜそれを「コウモリの洞窟」と呼ぶのですか?
- 感情が沸き起こったきっかけについてたずねる
- 「Best Buy」の名前を出したときにフッと笑ったのはどうしてですか?
- 理由をたずねる
- それはなぜだと思われますか?
- やんわりと探りを入れる
- 難しい状況になって使い方が変わったとおっしゃいました。どんな状況だったか教えていただけますか?
- 全く知らない人に説明する
- たとえば私が10年前の時代から来たばかりの人だとしましょう。スマートフォンとタブレットの違いをどう説明しますか?
- 他の人に教える
- 娘さんにシステムの操作を説明しなければならない場合、どんなふうに説明しますか?
フレームワークやメンタルモデルを解明するために何かと比較する質問
- プロセスを比較する
- 回答をFAX、郵便、メールで送る違いはなんですか?
- 他者と比較する
- 他のコーチも同じやり方をしていますか?
- 時間の経過で比較する
- 過去5年間で家族写真に関わる活動はどう変わりましたか?今から5年後にはどんなふうに変わっていると思われますか?
インタビューの満ち引きを乗り切る
- ことさら質問せず、対話の流れの中で同じトピックスが再び取り上げられるのを待つ
- あとからもう一度聞こうと思ったことを忘れないようにフィールドガイドに手早くメモする
第7章:インタビューの記録
デブリーフィング
- インタビューの終了早々にフィールドチームで集まり重要事項についてデブリーフィング(状況報告または事実確認)する
- その後のインタビューのために当初の考え、驚き、変化を記録する
- そして「インタビューをしたユーザーのために何をデザインすれば良いだろう?」と問うのだ
- デブリーフィングワークシート
- そのあとすぐにハイライトを手早く作成し、チームの他のメンバーと共有する
- その後のインタビューのために当初の考え、驚き、変化を記録する
第8章:インタビュー最適化
参加者が無口な場合
- 口が重いと感じたら、それがただ相手とあなたの話すリズムの違いによるものではないことを確かめる
- 何が参加者を不快にさせているかを突き止めて調整する
- 必要であれば何が不快にさせているかたずねても良い
- あるいは気まずさを受け入れて、相手が話してくれるまで先に進めよう
参加者が適切なユーザーでない場合
- 現場でインタビューをはじめたら、最後までやり通す
- 期待に沿わない参加者だったら、それはあとから反省する
参加者の話が止まらない場合
- あなたが自分で主導権を握っていないと感じているせいなのか、欲しい情報が得られていないからか自分に問う
- 話をさえぎる必要がある場合は、謝って、あなたが参加者の限られた時間を重視していることを思い出させよう
第9章:リサーチの活用方法
- リサーチデータの処理方法は分析(大きなデータをより小さな要素に分けること)と統合(複数の要素を新しい何かにまとめること)である
- インタビューから得た経験から、初期の重要事項を整理してトップラインレポートを作成する
- トップラインレポートを使い、リサーチがこれから解き明かそうとしていることについてチームから早い段階でフィードバックを得る
- 難しそうなインサイトはどれか、おもしろいのはどれかを明示する
- トランスクリプト(議事録)をメンバーに割り当てる
- インタビューを振り返り、重要なインサイトやパターン、発言をピックアップしメモする
- 再びチームを集め、インタビューのケーススタディを行う
- 主なポイントを付箋に記録し、付箋を分類して報告書を作成する
- 成功が成功を生む
- リサーチをくまなく活用して、さらにリサーチする機会を作ろう

